■食、何を食べるか
身体を維持・継続し、気持ちも穏やかに保つためには、食が欠かせない。食をどのように摂るかにより、体調の良し悪しまでも決まって来る。
基本は、何を食べるか?その考え方の基本には、ほんの少しの知識が要る。難しい知識ではない。中学で習った程度のことでいい、と私は思っている。
その知識、それは食材や食品に含まれる栄養素について。これら栄養素を、バランスよく身体に摂り入れ、体内で消化・吸収、分解・合成、つまり代謝を行い、必要成分を作り出して、身体成長や体調維持作用を行っていく。これが食の基本。
そう、食材や食品が持つ栄養素を摂り入れれるだけ、ここが食の最も重要な、また生命体を維持させる、必要不可欠要素だと思う。
何(栄養素)を食べるか?でも、普通なら、何をだから「はい献立」となるはずだろう。でも、そうではないと、私は思う。やっぱり、身体を作っているのは何か?だと思う。そう、栄養素の基本を頭に入れることから始めたい。
どんな栄養が、どこに効いているのか?これ、大切。
基本栄養素のことー
それは、たったの5種類しかない。
〇炭水化物(糖質+食物繊維)
糖質は体内に消化吸収されると、すぐに身体や脳の活動を支えるエネルギー源として働く。ただ、消費エネルギー量より、摂取エネルギー量が多くなれば、エネルギー過剰となり、どこかに蓄えられ、蓄積が増えると、体重増加となる。
食物繊維は、昔は非栄養成分と考えられていた。だが、その食物繊維にも、体内での働きのあることが分かった。それは、腸内環境改善作用による、生活習慣病予防に役立っている。
★糖質食材―穀類(米、パン、麺)、芋類、果物が主な食材。調味料の砂糖も含まれる。
★食物繊維食材―不溶性は、豆、海藻、野菜、甲殻類、穀物など。水溶性は、果物、野菜、海藻、蒟蒻など。
〇タンパク質
タンパク質は、筋肉、臓器など、身体を構成する最も需要な栄養素で、酵素や免疫抗体の原材料ともなる。
この重要な栄養素であるタンパク質は体内で分解され、アミノ酸となる。アミノ酸には数百種もあると言われるが、タンパク質を構成しているのは、僅か20種類。そのうち、体内に必要なアミノ酸(9種類)を必須アミノ酸と呼び、これは食材から身体に摂取し筋肉や臓器構成をさせていくしか方法が無い重要なアミノ酸。この必須アミノ酸を含むタンパク質は、正に基本栄養素である。
タンパク質不足は、体力や免疫力が低下することに繋がっている。
★タンパク質食材―これは必須アミノ酸のバランスにより、食材のタンパク質評価(アミン酸スコア)が決まっている。最もバランスがいいタンパク質食材は、肉、魚、卵、大豆、牛乳。
●つい近頃、新聞に『「はやぶさ」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った砂から、20種類以上のアミノ酸(イソロイシン・バリン・グリシン)とうまみ成分のグルタミン酸などが見つかった』と掲載されていたと掲載されていた。アミノ酸はタンパク質の素。それは、宇宙で、生命の素となる物質が存在した証。今、生存している生物は他の惑星から来たかもしれない?可能性がある、とのこと。へえ~、私たちの祖先は、別の惑星から来ているのかもしれない。ワクワクしますね。
〇脂質
脂肪は、血液やリンパ液、細胞膜、神経組織などを構成するには欠かせない成分で、エネルギー源としての働きもある栄養素。だが、何故か、嫌われもの扱いされることも多い。
摂り過ぎによる肥満、動脈硬化、高脂血症といった、年齢が高くなるとともに増加する傾向のある、病に結び付けられる栄養素でもあるからだろうか。しかし、不足になっても、血管や細胞膜が弱くなり、脳出血とも繋がるから、難しいことだが、過不足なくということか。
脂質を構成するのは、主に脂肪酸。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があり、中でも、体内では作られない脂肪酸がある。それが、リノール酸、αリノレイン酸、アラキドン酸の3種で、必須脂肪酸という。
★脂質(飽和脂肪酸の多い)食材―バター・ヤシ油・ラード・マーガリン・プロセスチーズ・肉類
★脂質(不飽和脂肪酸の多い)食材―紅花油・ひまわり油・胡麻油・綿実油・荏胡麻油・オリーブ油菜種油・魚類
〇ビタミン類
ビタミンは、これまで述べた栄養素、炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質のように、直接エネルギー源となる、身体の構成成分となるなどの働きはありません。が、身体を正常に機能させるには不可欠な栄養素。また、他の栄養素をスムーズに動かすための潤滑油として働き、さらに、身体それぞれのパーツの新陳代謝を促すためにも必要だ。
ビタミン類は13種類あるが、それらは脂溶性と水溶性に分かれている。特に、摂りたいビタミンは、脂溶性のAとE、水溶性のB1とC。つまり、ビタミンACE(エース)と覚えると言い。それにB1を加える。
とはいうものの、ビタミン類は殆どの食材に含まれている。だから、旬の食材を食べるようにすればいい、ということだ。
★ビタミンA食材―レバー・鰻・モロヘイヤ・人参・南瓜
★ビタミンC食材―菜の花・赤ピーマン・ブロッコリー・果物
★ビタミンE食材―植物油・南瓜・鰻・キングサーモン
★ビタミンB1食材―豚肉・鰻・豆腐・大豆・蕎麦・玄米
〇ミネラル類
自然界の物質すべてを構成している基本単位は、元素と呼ばれる。人の身体はほぼ酸素(O)・炭素(C)・水素(H)・窒素(N)から構成されるが、僅かだが、ミネラル類としての元素=栄養素も含まれる。それは、必須ミネラルと言われ、16種類もある。
ミネラル類は、主に骨や歯を構成する、酵素の構成成分となる、神経の興奮調節をするなどに働いている。ミネラル不足により、体調不調、骨粗鬆症、貧血症などに繋がっていく。
16種の必須ミネラルすべての作用が理解出来ずとも、主なミネラルの作用を理解するとよい。
例えばカルシウムは、骨代謝、神経興奮抑制、ナトリウム排出などに作用している。特に慢性カルシウム不足では、肩こり・腰痛、イライラ状態ともなる。
鉄は、赤血球、筋肉成分、酵素の構成成分で、特に体内に取り込んだ酸素を運ぶ作用は重要である。
不足すると鉄欠乏性貧血となり、疲れやすい、頭痛、動悸、食欲不振となることがある。成長期、生理のある女性は不足に気を付けて。
★カルシウム食材―牛乳・プロセスチーズ・水菜・生揚げ・煮干し・ひじき
★鉄食材―レバー・がんもどき・ひじき・納豆・菜の花・ほうれん草・小松菜
大雑把に栄養素の内容を、理解しただろうか。この栄養素、誰でも、どの年齢の人でも、同じなのだろうか?そうではないはずだ。
年齢、仕事、動きなどにより、摂る内容は違うはずだが、まずは、年齢による内容を変えたほうががいいと思っている。
成長期の若者、働き盛りの中年、そしてリタイアした者では、身体の動き、仕事、学びなど人生環境が様々だから、体内への必要内容も様々なはず。摂り入れ方にも差があって当然、と思う。
誰でも、5種類すべて漫勉なく摂り入れるのは理想と言える。だが、人は機械とは違い、好き嫌い、体調、気持ち、天気など、色々なことに左右される。しかも、食を作るのも人がやること。いつも、満遍なく考えたいと思っても、そうとは行きかねる時もある。では栄養素、どう食べるのか?
年齢による中心栄養素を考えるといいのでは、と思う。例えば、成長期では、エネルギー源の炭水化物中心、働き盛りでは、エネルギーもそうだが、潤滑のビタミン&ミネラル中心、そしてリタイア期は基礎であるタンパク質中心、といった具合だ。
勿論、他の栄養素を摂らなくていい、というのではない。他は、食べたいものを、副菜にする。冷蔵庫の間に合わせ、コンビニ、デパ地下、スーパー惣菜などを組み合わせれば済む。
人も、自然界の生き物の一種だ。生き物は水、アミノ酸、糖質、脂肪酸、ミネラルで構成されている。シンプルに、自分や家族の現在環境から、食の栄養素摂り入れを実践するといいと思う。